大学図書館員 坂本です

学びと遊びを考える

近畿大学通信教育部図書館司書コース 試験対策 図書館情報資源概論

紙媒体の図書と電子媒体の図書を比較して、それぞれの利点を5つずつ示し、公共図書館において電子書籍の貸出サービスを行っている実例を述べてください。


・ 紙媒体の利点
1、 機器を用いず読むことができる
2、 眼が疲れにくい
3、 持ち運びが簡単で、読むための時間限定されない
4、 ページ概念がある
5、 文書の量が簡単に把握でき、好きなページを瞬時に開くことができる
6、 書き込みやアンダーラインを引くことができる
・ 電子媒体の利点
1、 本文の検索ができる
2、 最新の情報が入手できる
3、 必要な情報だけを入手することができる
4、 文字情報だけでなく、音声、静止画、動画を収録できる
5、 引用や参考文献にリンクすることができる
6、 流通コストを低減し、価格を安くすることができる

公共図書館において電子図書の貸出サービスを行っている実例
 東京都千代田区立図書館では、2007年11月に「千代田Web図書館」として学習コンテンツなどの4000タイトルの提供を開始した。1人につき上限5冊を2週間まで貸出可能で、貸出期限が過ぎるとパソコンから自動消滅する仕組となっている。そして、商業出版社への配慮として印刷はできず、同時に一人までしか借りられないようになっている。


グーグルによる書籍全文データベース化について述べ、国立国会図書館電子図書館事業との違いについて論じてください。


グーグルが2005年に図書館の蔵書を全文スキャンし、デジタル化する「図書館プロジェクト」をハーバード大学などの公共図書館の協力を経て開始したのが書籍全文データベース化のはじまりである。
作家協会と全米出版社協会著作権侵害を理由にグーグルを提訴したが、グーグルはフェアユースとして反論、その結果、和解案がまとまった。
その内容は、グーグルは引き続き著作権のある書籍をスキャンし、書籍データベースを作成し、図書館などの団体が購入して利用できるようにすること、消費者に個別に販売することが認められた。
これが実現すると、品切れ・絶版になったものも含め書籍の巨大なデータベースが出来上がり、人類がこれまで蓄積してきた書物というメディアが検索可能な書籍データベースとなる。
国会図書館の電子事業との違いは、国会図書館はスキャンした書籍を画像データとして処理しているので、全文検索できないことである。
これは、商業出版社に配慮した結果、テキスト化していないことが理由として挙げられる。


日本の出版流通の中心的な存在である取次ぎについて、その歴史と役割、物流合理化の取り組みについて解説してください。


取次がそう呼ばれるゆえんは、出版社と書店の間にあって書籍・雑誌の流通を取り次ぐことで販売のリスクを回避してきた歴史的経緯からである。
今日では大手取次ぎの日本出版販売は「出版販売会社」、トーハンは「情報・流通ネットワーク企業」など、「取次」という言葉より販売会社あるいは情報・流通系の企業と自らを規定するようになってきている。
取次ぎの役割は出版社と小売書店の中間にあってその流通の円滑化をはかることである。出版社の立場からは取次ぎと取引することによって多くの書店店頭に出版物を置いてもらうことができ、また書店の立場からも個々の出版社に注文を送らなくても取次が新刊配本してくれることになる。つまり多数の出版社と多数の書店を取次が結ぶことにより、取次総数の最小化という機能を取次が果たしているのである。
物流合理化の取り組みでは、書店・出版社間を結ぶ企業VANとして開発された日版のNOCSやトーハンのTONETSなどが1980年代半ばから稼動し、物流倉庫では受注から出荷までコンピュータにより統合処理するシステムを導入してきた。
しかし、近年もっとも物流改善の取り組みが進展したのは、コンビニエンスストア向けの雑誌送品やオンライン書店向けに構築した書籍の単品管理の分野である。物流情報のデジタル化により、今日では取次内部だけではなく出版社・コンビニエンスストア・書店も含めた物流情報の共有化が図られるようになってきている。


日本の書店の特徴を2つ示し、最近の書店経営の実態について解説してください。


まず、日本の書店の特徴の1つ目は、店舗数が多いことである。2010年時点でアメリカが約10,900店であるのに対して、日本は16600店となっている。国土面積の差を考えるとさらにその店舗数の多さがわかる。
特徴の2つ目は、書籍と雑誌を両方販売していることである。
欧米で書店というとハードカバーの書籍を販売する小売店であり、雑誌などは新聞スタンドやキヨスクなどで売られている。ところが日本の一般的な書店では雑誌、コミック、文庫、実用書の販売比率が高い。これは日本では取次経路が主流であり、その取次ぎは雑誌と書籍を同時に扱っていることが要因のひとつとなっている。
最近の書店経営の実態で注目すべき点は、中小零細規模の書店を中心に弊店・廃業が相次いでいることである。このような中小零細書店の閉店・廃業の要因としては、コンビニエンスストア、ネット書店の台頭、大型書店出店による競争激化、新古書店など流通の多チャンネル化、インターネットなど情報環境の変化がその要因として考えられる。
また、その背景には日本の書店の抱える構造的な課題としての粗利益率の低さの問題がある。


アマゾン・コムに代表されるオンライン書店についてその特徴と既存の書店にもたらした影響を解説してください。


 オンライン書店の特徴は、
① 書籍データベースの規模が大きく、検索システムが充実していること
② 大幅なディスカウントがあること
③ CD,オーディオブック、DVD、コンピュータゲーム、玩具、家電製品など取り扱い商品が豊富なこと
が挙げられる。
オンライン書店が既存の書店にもたらした影響としては、中小零細書店の売り上げに影響を与えるであろうが、もっとも大きな影響はこれまでの出版流通では考えられなかった徹底した単品管理システムを取次現場にもたらしたことであると考えられる。


「地域資料」とはなにか。例を示して解説し、公共図書館における最近のデジタル化の動向を論じてください。


地域資料とは、図書館資料の種類の一つで、郷土資料、地方行政資料、地域住民が刊行した資料を指す。それぞれの具体例を以下に示す。
1、 郷土資料とは郷土に関連した、もしくは郷土人や出身による著書や郷土での出版物、古文書や出土品などをいう。
2、 地方行政資料とは、政府機関や地方自治体およびその類縁機関、国際機関が刊行した資料をいう。
3、 地域住民が刊行した資料とは、地域での住民の文化的、社会的活動から生み出されたさまざまな資料をいい、住民サークルの機関紙なども含まれる。
次に、公共図書館における最近のデジタル化について述べる。
地域資料には非市販資料が多いため、組織化が困難なこともあり、検索などによる円滑な利用を考えると、データベース化することが今日の課題となっている。
そのため、2010年より、国立国会図書館による「公共図書館におけるデジタルアーカイブ推進会議」が行われている。地域資料のデジタルアーカイブは全国の図書館の特色あるコレクションとしても重要な位置を占めると思われることから、この会議は、デジタルアーカイブ事業を推進する上で大きな転換点であると考えられる。


灰色文献」とはなにかを解説し、その例を3つ示してください。


灰色文献とは存在を確認することが難しく、通常の出版物の流通経路では入手困難な資料のことを「灰色文献」と総称する。
図書館情報学辞典 第3版』では、灰色文献を次のように定義している。
書誌コントロールがなされず、流通の体制が整っていないため、刊行や所在の確認、入手が困難な資料。
しかし、市販されない資料でも、現在ではインターネット上に公開されるものが増え、「インターネット上でも検索・閲覧することができない資料」と新たな限定を加える必要が生じている。

灰色文献の具体例では以下の3つがある。
1、 政府刊行物(白書などを除き、市販されないもの)
2、 会議資料
3、 学位論文
4、 企業文献
5、 テクニカルレポート
6、 規格資料


CD-ROMの定義、歴史と図書館における利用の注意点を示してください。
はじめにCD-ROMの定義について述べる。


図書館情報学用語辞典3版』には次のように定義されている。
「直径役2cmのコンパクトディスク上に、文字情報、音声情報、画像情報、コンピュータのプログラムやデータなどをデジタル信号で記録したもの。マルチメディアの記録媒体として代表的である。ROMは読み取り専用で書き換えができないことを表している。記録容量は約650~700メガバイトで、文字情報に換算すれば新聞記事1年分以上を記録することができる」とされている。
次に歴史について述べる。
日本初のCD-ROMは1985年に発売された『最新科学技術用語』である。そして2年後の1987年に岩波書店が『広辞苑』CD-ROM版を発売し、広く社会にCD-ROM出版が認知されるところとなった。
1998年には小学館が『スーパー・ジャポニカ日本大百科全書+国語大辞典CD-ROM版』を発売し、百科事典のCD-ROM化はこれまでの知識や情報へのアクセスの仕方そのものを変化させた。
1999年、アスキーが「青空文庫」のコンテンツをCD-ROMに収録し、アスキーPCなど5誌の雑誌付録として読者に無料提供を開始した。
2001年からは日本雑誌協会が雑誌基準を改定し、週刊誌にもCD-ROMを付録で添付できるようになり、CD-ROMを付録で添付できるようになり、高額なものから無料で提供されるものというイメージに大きな転換を遂げることになった。
最後に、図書館における利用の注意点について述べる。
 CD-ROMは館内での利用は可能であっても、利用者が持ち込んだパソコンでの利用は認められない場合があることである。また、館外貸出についても認められない場合があることである。


出版業界で一般に使われている「デジタル雑誌」という語句を解説してください。


 出版業界で一般に使われているデジタル雑誌とは、書店店頭に一般読者に販売されている紙媒体の雑誌をデジタル化し、提供したものを指す。
図書館情報学の世界では電子メディアを用いて出版される学術雑誌を「電子ジャーナル」と呼ぶことが定着しているために、出版業界でも学術雑誌以外を「デジタル雑誌」と呼んでいる。

 

図書館における電子書籍の利用について、大学図書館公共図書館とに分けて、解説してください。


 まず、大学図書館における電子書籍の利用について述べる。
 日本の大学図書館で提供されている電子書籍は海外出版のものが中心となっている。その理由としては、欧米の学術出版の世界では電子書籍はすでに市場として成立しており、コンテンツの充実度や価格体系が図書館規模に応じて明確化されており導入しやすいからだと考えられる。
 また、電子書籍の利用は、英国の大学図書館ではかなり進んでいるが、日本の大学図書館では、NetLibraryへの日本語タイトルの搭載など、大学図書館における電子書籍の利用がようやく始まりつつある。
次に、公共図書館における電子書籍の利用について述べる。公共図書館における電子書籍の取り組みはそう多くはないが、「千代田Web図書館」が電子書籍利用の具体例として挙げられる。
2007年「千代田Web図書館」は学習コンテンツなどの4000タイトルの提供を開始した。1人につき上限5冊を2週間まで貸出可能で、貸出期限が過ぎるとパソコンから自動消滅する仕組となっている。そして、商業出版社への配慮として印刷はできず、同時に一人までしか借りられないようになっている。