大学図書館員 坂本です

学びと遊びを考える

近畿大学通信教育部図書館司書コース 試験対策 図書館史

古代における書写材料と図書館の関係について説明してください。


1、 書写材料について
・ 紀元前3500年ころに作られたといわれている古代メソポタミア文明では、粘土板にスティルスを使って文字を彫り込んだ。この文字は楔形文字といわれている。耐久性に優れ、半永久的に保存が可能である。
粘土板を収容するものにアッシリアの首都ニネヴェの図書館があり、アッシュール・バニパル王によって設置された。宗教、歴史、科学、文学、神話、政府の記録物などあらゆる図書が収集された。
・ エジプトで発明されたパピルスはカヤツリ草科の植物を加工して作られる。紀元前2500年頃から利用され、紀元1000年頃までエジプトを中心としてギリシア、ローマにおいて使われた。ただし、湿気に弱い。パピルスを収容するものにアレクサンドリア図書館があり、アレクサンドリア王が設置した。パピルスの文字情報の収容力は少なく、かつ巻物の形を取るため、保管には大きなスペースが必要であった。この図書館には、写本を専門とする職員がおり、彼らにとって生産された写本は納本と同時に出版もされた。アレクサンドリア図書館は、学術文庫の網羅的収集のみならず、目録の作成、辞典などの編集、ギリシア語への翻訳など、資料の保存機関、研究機関、、文献の生産機関であった。
・ 羊皮紙は、羊、牛などの皮を加工したもので、パピルスに比べ丈夫、なめらか、保存が良い、文字集容量が多いなどの特徴があり、8世紀のはじめにはパピルスを圧倒した。冊子体にしたものをコデックスと呼び、紙の出現まで一般的に流布した。
  羊皮紙を収容するものにペルガモンの図書館があり、ペルガモン国王ユーメネス2世が設置した。
 
・ 紙は中国の蔡倫が105年に発明した。日本には610年、高句麗の僧曇徴によって、絵の具・墨とともに伝えられる。日本ではメモ程度なら木簡、正式な文章では紙と併用して使用した。
 わが国では中国、高句麗から紙媒体である漢籍・仏典がもたらされ、それらを保管する、
もしくは写経し保管する目的で経蔵、文庫、図書寮などと呼ばれる図書施設が設置された。
701年の大宝律令では図書寮を設置することを定め、図書の保管、書写などを行った。
紙工場である紙屋院も図書寮の管轄である。

 

次のことばを説明してください。


1、 図書寮
 701年、大宝律令によって定められた。図書の保管、書写と紙屋院による紙の製造も行う。
具体的には
・ 朝廷の図書を収集管理する。
国史を監修、編纂する。
・ 宮中で必要とされる仏典・仏像の保管・管理。
・ 書写、校正、装丁の工程管理。
・ 紙、筆、墨を各省や写経所へ供給
を行った。

2、 文殿
 官設の文書保管機関として各官司および、内裏、院、摂関家、幕府などに設置された。宣旨、太
政官符の本書、草案、案文など政府関係文書を保管し、公文を作成した。現在の公文書館にあたる。

3、 芸亭
 石上宅嗣が自分の寺邸宅を阿閦寺という寺にして、その一隅に書斎を設けたものが芸亭である。儒教の図書を収蔵し、好学の人々に公開した。わが国最古の公開図書館である。

4、 紅梅殿
 菅原道真の京都の邸宅に設置された文庫のこと。限られた人への公開ではあったが、一種の私塾としての教育的機能を兼ね備えていた。
 清少納言枕草子の中で紅梅殿をすばらしい邸宅と賞賛している。

5、 写経所
 唐や朝鮮半島からもたらされた経典を複製する場所。印刷技術がなかったため、手書きでの複製となる。
聖武天皇は写経所を多く設置し、特に東大寺の写経所は国の中心的な機関として組織的に行われた。
これらは、信仰の増進と学問の発展に寄与した。

鎌倉・室町時代の印刷出版事業について説明してください。
宋との交流が深まり、宋版本がもたらされた。
宋版本は版木に文字などを刻印して印刷されたもので、校訂、版印、字様、いずれもすぐれていた。
わが国の印刷にも影響を与え、春日版、五山版、高野版、叡山版などの寺院版を誕生させた。
春日版は春日神社に奉納される出版で、聖徳太子の著作を中心に印刷された。
五山版は特に宋版の影響が強く、字は端正で力強く主に禅関係の本が印刷された。
そして、戦国大名が登場してくると、文化が中央から地方へ拡散され、地方版が印刷された。

 

次のことばを説明してください。


1、 青柳館文庫
 仙台の青柳文蔵が、自分の蔵書2万巻余と千両を仙台藩に献上。
 仙台藩青柳文庫に目付を配置して公費で運営、庶民に公開した。
2、 昌平坂学問所
 林羅山の私塾、弘文館が起源である。このときすでに文庫が備えられていた。
 寛政9年幕府直轄の学校となり、昌平坂学問所と命名され、主に旗本、御家人の子弟を教育した。
また、直轄学校となったことで、寄贈の図書が増加し、それに加えて全国出版物改めで文庫は充実していった。
そして、教科書用として図書の出版も行われた。
明治3年に休校、翌年閉鎖となったが蔵書は内閣文庫に引き継がれた。
3、 紅葉山文庫
 徳川幕府が最初に設置した文庫が富士見亭文庫で、それを寛永17年、火災から守るため紅葉山に移し、紅葉山文庫と称した。
 幕府の権力と経済力によって十分な運営が行われていたが、幕府の機関であり一般の利用は考慮されていない。明治以後は内閣文庫となる。
4、 駿河文庫
 徳川家康が資料の収集をするため駿河城中に駿河文庫を設置した。
 文庫の管理には林羅山が就任した。
 のちに駿河文庫は尾張紀伊、水戸に分配され、駿河御譲り本と呼ばれた。
5、 尊経閣文庫
加賀藩前田家の文庫。
藩の初代領主である前田利家から代々引き継がれ、5代藩主前田綱紀が書物奉行を置くなどして古書などを広く収集した。
前田家が代々、保管してきたものだけに、学術的に質が高い資料が集められていると高い評価を得ている。

 

徳川幕府の文庫とその後の流れについて説明してください。


徳川幕府が最初に設置した文庫が富士見亭文庫で、それを寛永17年、火災から守るため紅葉山に移し、紅葉山文庫と称した。
 幕府の権力と経済力によって十分な運営が行われていたが、幕府の機関であり一般の利用は考慮されていない。
明治以後は内閣文庫となり、昭和46年国立公文書館の内閣文庫に継承され、一部は宮内庁書陵部で保管され、今日に至っている。

日本の近代図書館の誕生と図書館令について説明してください。
1、 日本の近代図書館の誕生
明治5年、ボールドウインの建言による、京都に設立された集書会社が、近代公共図書館の先駆けとなった。
 京都府は集書会社の南に集書院を新築し、経営を集書会社に委託した。
 有料で利用できる会員制で、公設民営の図書館であった。
 集書院は経営が立ち行かず、明治15年に閉院したが、その後の公共図書館が生まれる足がかりを作った。このほかに新聞縦覧所、書籍館貸本屋が図書館の誕生に影響を与えた。
 しかし、書籍館が、文部省の「示諭事項」により干渉され、衰退していくと教育会経営の図書館が各地に誕生し、その後の公共図書館誕生の母体となった。
2、 図書館令
 明治32年、日本で初めて図書館の法律である「図書館令」が交付された。
地方公共団体は図書を収集し、公衆の閲覧に供するために図書館を設置することを認め、私人や公私立学校にも同様に設置を認めた。公立図書館においては、図書閲覧料を徴収することを許した。
昭和8年には、改正図書館令が交付された。
この法律の目的は中央図書館を設置することで、管内の図書館を国家統制のもとに監督しようとしたことである。

 

日本の戦前と戦後の図書館の大きな違いについて説明してください。


 戦前に対して、戦後は、利用が無料であること、移動図書館が始まったこと、児童サービスを徹底して行うと決めたことが挙げられる。
これらが起こった背景を以下に述べる。
戦前の図書館が有料であったのを、CHQの『米国教育施設団報告書』で批判された。
また、戦前の図書館が、政府の国民に対する思想善導、教育といった統制的な性格を強く持っていったことが反省され、1950年の図書館法によって一般に等しくサービスを行う公共図書館の概念が導入された。
1953年には『中小レポート』によって、図書館の役割は知的自由の保障にあると認識し、それには中小図書館が重要であるとした。具体的な目標は以下である。
1、 図書を気軽に館外貸出をする
2、 徹底して児童サービスをする
3、 図書館を身近に置くために、全域へのサービス網をはりめぐらす。

また、移動図書館が始まったことで、図書館の存在が一般により身近なものとなった。


アメリカの図書館の発展の特徴について説明してください。


1、大学図書館
アメリカで最初に作られた図書館は、1638年のハーバード大学図書館である。この大学は牧師の養成を目的としていたので、図書の大部分は神学書で占められていた。
1701年にはイエール大学が設立され、多くの人々からの寄贈が相次いだ。
2、会員制図書館
 この図書館は会員が一定金額を拠出して図書を購入し、共同利用をしようというもので、ベンジャミン・フランクリンが創設したフィラデルフィア図書館会社が最初である。これは中流階級あるいはそれ以下の貧しい人々を対象としたもので、今日の公共図書館のさきがけとなった。
3、公共図書館
1848年ボストン市が公共図書館建設の特別令を施行し、法的根拠のある公共図書館が設置される運びとなった。
4、アメリカ図書館協会(ALA)
1876年、全国最大規模であるアメリカ図書館協会が設立され、近代の図書館を取り巻く環境が整えられるようになる。

アメリカ独立戦争は多くの図書館を破壊したが、どの図書館も相次ぐ寄贈者の努力によって復興した。今日でもアメリカの寄贈精神はカーネギーやニューヨーク公共図書館などに示されている。


クーテンベルクの印刷術が図書館に与えた影響について説明してください。


書写時代では、図書は非常に高価で貴重なものであり、鎖本まで登場したが、
活字印刷術の発明により、図書が大量に、安値で生産されるようになった。
そうなると図書館の図書の貸し出しが行われ、保管方法でも公開性が高まった。
それまでは箱や書見台に置かれていた図書が書架に並べられるようになったのである。
図書館の書写室は次第に印刷所となり、書写室は消滅していった。


図書館の自由について、要点をまとめて説明してください。


図書館の自由とは、図書館が中立的な立場であり、さまざまな圧力や干渉から自由であり、利用者は自由な意思で読みたい・必要な資料を選ぶことができることを指す。
図書館の自由に関する宣言」では以下を表明している。
・ 資料収集の自由
・ 資料提供の自由
・ 利用者の秘密の保持
・ 閲覧の反対
これらは法的な効力を持つものではないが、国民の基本的人権を保障し擁護する図書館の責任についての社会へ宣言する内容である。

以下は照らし合わされた事例である。
山口県立図書館課長の独断での図書封印
・ 独断での所蔵資料破棄
・ 内容によって外部から提供の制限を求められたり、出版社から資料の回収、提供制限を要請された
・ 捜査当局より犯罪捜査に関するものとして、利用者の貸出し記録などの公開が求められた