大学図書館員 坂本です

学びと遊びを考える

近畿大学通信教育部図書館司書コース 試験対策 図書館サービス概論

閲覧サービスについて、他のサービスとの関連とともに説明してください。

 閲覧とは一般に、図書館内での読書や、調べものなどの調査活動のことである。

閲覧した結果、資料の一部だけを再利用したいときには複写サービスにつながるかもしれないし、通読したいと思えば貸出しを受けるかもしれない。疑問点が見つかればレファレンスサービスを求めるかもしれないし、読書案内サービスを使って関連資料を紹介してもらうかもしれない。このように閲覧サービスはさまざまなサービスへと展開していく可能性があるため、できるだけ利用者が自由に閲覧できるようなシステムや環境が望まれる。

閲覧方式には開架式と閉架式があり、

排架の基本は「左から右へ」「上から下へ」排架記号にしたがって行われる。

また閲覧サービスを含めたこれらのサービスを利用者に理解してもらうために利用案内の冊子などで紹介している。

 

複写サービスについて、他のサービスとの関連とともに説明してください。

複写サービスとは、複製物を提供するサービスのことである。コピーサービスとも言われる。複写サービスを受けることによって、貸出しできない辞典の必要箇所をコピーして持ち帰ることができたり、雑誌のバックナンバーの論文を複写して必要なときに何度でも参照できたりする。

 複写サービスによって従来なら長い時間をかけて筆写していた利用者の時間を大いに節約したり、資料の一部が切り取られて失われたりするようなこともへったのである。

 しかし、図書館での複写サービスは資料の多くが著作物であり、図書館において著作物の複製を作る場合は、該当する著作権法の規程を守る必要がある。

 また、これに関連するものとして他館からの求めに応じて複製物を作って届けるものを文献複写サービスという。

そして、閲覧などの図書館サービスと違い、複写サービスは有料となる。

これは、利用者が複製物を受け取り私有化するからで、一般の図書館利用とは区別されて、対価が支払われるのである。

 

レファレンスサービスについて、他のサービスとの関連とともに説明してください。

 レファレンスサービスとは、利用者が何かを知りたいと思ったときに、そのことがわかるよう支援することである。「参照」という言葉からわかるように、図書館資料やデータベースのような外部資料を参照することで得られる「典拠のある情報」を提供するものである。

レファレンスサービスは情報を提供する場合が多いため、情報サービスや情報提供サービスと言われることもある。図書や新聞、雑誌を提供する閲覧や貸出など資料提供サービスとならんで、知りたいことが分かるよう支援するレファレンスサービスは、図書館の重要な機能のひとつといえる。

レファレンスサービスは読書案内とも関連が深く、サービスを受けて希望する図書や資料にたどり着くのが読書案内であるのに対し、サービスを受けて希望する情報にたどり着くのがレファレンスサービスである。

提供される情報は典拠に基づくものでなければならないため、前者が資料を全体としてとらえているのに対して、後者は資料の一部分である情報を対象としてとらえているということもできる。

 

問課題解決支援サービスについて、他のサービスとの関連とともに説明してください。

 公共図書館では登録すれば図書を借りられる。新聞や雑誌を読むことができたり、調べもので困ったときはレファレンスサービスを受けて問題が解決したりすることもある。こうした従来からのサービスをさらに展開させるのが課題解決支援サービスである。問題解決支援には、行政支援や学校教育支援、子育て支援ビジネス支援などがある。

問題解決支援サービスは従来からのサービスと別個にされるものではない。

閲覧や貸出、読書案内やレファレンスサービスなどと連携して実施され、さまざまな課題を持つ人々に具体的に役立つ支援をしてよりよい成果に結びつけることが望まれる。

なお、課題解決支援サービスは一般的には試行錯誤の段階にあり、よりよいサービスを考えていくことが求められる。

 

ヤングアダルトサービスとは何か、他のサービスとの関連とともに説明してください。


ヤングアダルトとは、児童と成人の間に位置づけられるが、明確な区切りがあるわけではない。年齢制限があるわけでもないが、ヤングアダルトの興味を持つ資料や図書館に期待することが他の世代と異なる場合があるため、それらに配慮したサービスが求められる。
自意識が強まるなかで社会との関わりにおいて、とまどいを持つヤングアダルトに安心して満足してもらうには、子ども扱いされずに尊重され、ある程度自主的に人々と関わっていけるような参加型のサービスが効果的である。
一般には中学生になるとクラブ活動や学習塾、稽古事が増えて図書館を利用しなくなりがちであるが、こういった形で不安定なヤングアダルト層を着実に受け止めることで、成人サービスへの移行がスムーズにすすむことに繋がっていくのである。
また、ヤングアダルトは多様なメディアや情報に取り囲まれていることから、ヤングアダルトのための資料も多様性が求められる。
図書であればライトノベルや進学・就職に関するもの、学校生活に関するものなどである。図書以外の資料ではCDやDVDなどのAV資料が挙げられる。

 

障害者サービスとは何か、他のサービスとの関連とともに説明してください。

 公共図書館においては、障害者の知る権利・学ぶ権利も保障することが求められる。

障害者とは、視覚障害者や聴覚障害者など身体障害者だけではない。知的障害者や非識字者、学習障害者や読字障害者、さらには日本語を使わない人、何らかの理由で来館が困難な人など、「何らかの理由で図書館サービスを使うのに困難を感じる人」と幅広く考える必要がある。

図書館サービスを利用するのが困難に思われる理由はさまざまであるが、背景にあるさまざまな障壁は、図書館側の配慮によって、ある程度少なくすることができる。しかし、そうした配慮は障害者だけになされるものではなく、遠隔地に住む人には、配本所の設置やブックモビルの巡回によって、ある程度使いやすくすることができる。日本語を使わない人には、理解できる外国語表記によって使いやすくすることができる。

このように障害者サービスだけでなく、図書館におけるさまざまなサービスがあいまって、全体としてより多くの人々に使いやすいものとなっているのである。

 

図書館における相互利用について、その意義とともに説明してください。

相互利用とは自館が所蔵していない資料や情報を他館から調達して利用者に提供することである。相互利用には、図書など資料の現物を送付してもらう現物貸借と、新聞・雑誌記事など必要な部分だけを複写して送付してもらう文献複写がある。

現物貸借は、現物を他館から調達するため、書店を通して購入するより短い日数で利用者に資料を提供できたり、購入費を節約できるという利点がある。

文献複写では、新聞・雑誌などの記事・論文のような一部だけを必要とする場合に、他の利用者も現物を閲覧できるように複写物が提供されるのである。また、これには送料が片道で済むという利点もある。

このように、相互利用の意義とは、逼迫する地方自治体の財政状況のなかで、図書館が資料を相互貸借することで、利用者のニーズを比較的安いコストでまかなえることである。

また、全国的に書店が減りつつあり、特に過疎地域では著しいため、公共図書館が窓口となって資料や情報を提供することは、情報格差を是正して知る見地を保障していく意味でも意義がある。

 

図書館サービスにおいて著作権をどのように考慮すべきかについて説明してください。

図書館サービスで扱う資料や情報の多くが著作物であるため、著作権法の規定を踏まえて扱う必要がある。

1、閲覧についてであるが、紙媒体の資料を閲覧させることは、著作権とは関係ないので、自由にできる。注意が必要なのは電子媒体で、マイクロ資料と同じように上映権に関わる。電子媒体のものを利用するとき、モニタなどに映し出さなければならないからである。ただし、非営利で無料なら上映権が制限される場合があり、一般の公共図書館サービスでは問題にならない。

2、貸出では、図書館資料の利用者への貸出は貸与権に関わるが、上映権と同じように非営利で無料の公共図書館の場合は自由に貸し出すことができる。ただし、映画の著作物の場合は貸し出すことのできる機関が限定されており、著作権者に保証金を支払う必要があるので注意が必要である。印刷資料や音楽CDは問題なく映画ソフトが問題になるのは、後者の場合は前者より大人数で利用されやすく、映画館やレンタル店など商業施設と競合しやすいからである。

3、複写サービスでは図書館資料の一部分のコピーをとるなど複製を作ることになるので、複製権に関係する。しかし、図書館などにおいては、一定の要件を満たせば複製権が制限されて複製を作ることができる、

4、映画の上映会や音楽CDを使ったコンサートは上演権や演奏権に関わるが、営利を目的としない無料の映画上映会やCDコンサートなどは著作権者の許諾を得なくてもすることができる。ただし、DVDなどソフトを購入するときの条件によって契約違反となる場合があるので、注意が必要である。

5、障害者サービスでは、障害者が図書館の資料や情報、サービスを使いやすいように、点字資料を作ったり、対面朗読をしたりするが、これらの資料作成やサービスに著作権法が関わっている。

点字資料を作ることは複製を作ることに該当するが、公表された著作物であれば無許諾で資料をつくることができ、無許諾、補償なしでインターネット環境を使って配信することもできる。

6EYEマークは視覚障害などの理由で活字のままでは図書などの印刷媒体を読むのが困難な障害者のために、図書などが出版された段階で録音資料や拡大写本を作成してもよいことを著作権者が予め宣言するものである。

 

図書館における利用教育について、その意義とともに説明してください。

利用教育とは、利用者が図書館サービスの利用方法や資料・情報の検索方法がわかるようにすることである。

 利用教育の意義は、利用者が図書館サービスをより効率的・効果的に利用するようになることが挙げられる。多様な情報源を知り効果的な検索方法を用いれば、より短い時間でよりよい成果が得られるようになるだろう。

その結果、図書館員に尋ねなくても自分で資料や情報を収集できるようになり、従来はレファレンスサービスに使用していた時間を図書館員・利用者それぞれがほかの事に使うことができるようになるかもしれない。

利用教育の意義としてはさらに、社会教育機関としての生涯学習支援の機能も挙げられる。教育を受けて社会に出たあとも、変化の激しい社会に対応するために学び続けることが求められる。

生活や仕事を充実させるためにも情報発信の知識やスキルは、ますます重要となっていくと思われるため、これらを支援する図書館の役割も同様にますます重要になっていくものと思われる。

 

図書館における環境整備について、その意義とともに説明してください。

同じ図書館サービスでも使いやすく感じたり、使いにくく感じたりする。どう感じるかは使う人や使う目的、使い方によって異なるため、利用者だけでなくサービス対象者全体を考えて工夫することが求められる。また、使われ方は季節や曜日、時間帯によって異なるため、いろいろな状況を考えたり状況にあわせて変化させたりすることが望まれる。環境整備を工夫をすることで図書館サービスがよりつかいやすいものとなり、利用が増えていくことにつながっていくという意義がある。

  • 図書館サービスのアクセスではサービス対象者の動線を考えて便利と思われるようなところに設置されるのが望ましい。またアクセス方法は公共機関も含めてサービス対象地域全体からの通いやすさを考える必要がある。そしてサービス時間も週1回、夜間開館日を設けるなどすれば使いやすくなる。
  • 図書館内の構成では無駄を少なく快適に利用できるよう配慮することが求められる。まず、利用者を考えたコーナーの配置が大切である。次に図書館員がどこでサービスをするかを考える必要がある。また書架をどのように配置するかも重要である。
  • 図書館家具は多様な使われ方を知った上で使い勝手のよいものを考える必要がある。利用者・目的にあわせて多様に使い分けられるような配慮をすることが求められる。
  • サイン計画では利用者が必要とする資料やサービスを速やかに見つけるために、館内に体系だったサインを考えることが求められる。