大学図書館員 坂本です

学びと遊びを考える

近畿大学通信教育部図書館司書コース レポート対策 図書館経営論

僕の書いたレポートです。

参考にしてください。

 

まず、公立図書館への指定管理者制度の導入に関する法的問題の概略を述べる。
1,官設民営の法的合理性に矛盾する問題

 図書館法第2条において、公立図書館は地方公共団体が設置、私立図書館一般社団法人もしくは一般財団法人が設置と明確に区別されている。しかし、公設民営はその点であいまいな存在となっている。そして、13条ならびに14条で、職員は公務員でない人を任命することは想定されていない問題がある。

2,指定管理者制度と図書館法に関する問題

 指定管理者制度地方自治法に属するものであり、図書館にもそれが適用されるが、図書館においては図書館法が優先される。図書館法の概念と矛盾しないように、指定管理者制度を適用しなければならない。

3,社会教育施設としての責任問題

 教育基本法第9条及び11・12条によって、公立図書館は公共施設であるだけでなく、教育委員会が運営する社会教育施設としての位置づけがされている。しかし、指定管理者制度ではその考えが覆されてしまう。

4,指定管理者制度の導入期間の問題

 自治体の指定管理者は5年の指定期間が多く、後継者の育成が難しいことがあげられる。

5,理念なきコストカットの問題

 法律的には住民の福祉を増進するための指定管理者制度のはずが、サービスのレベルが下がっても、とにかく安さありきという単なるコストカットになってしまっている。

6、館長の設置問題

 図書館法や地方教育行政法では教育委員会が館長を任命することになっているが、文部省の見解では指定管理者を導入する際に館長が公務員でないときは教育委員会が任命する必要はないとしている。

7、業務の範囲についての問題

 指定管理者に委ねる業務の範囲は条例で限定することができるが、管理体系が二分化し、それが事業の効果的な運営の妨げにならないかという問題がある。

8、無料の原則についての問題

 原則として利用を無料とする公共図書館指定管理者制度を実施しても経済的な利益を期待することは難しい。TRC代表取締役会長・石井昭は図書館運営における利益について「現場の業務委託なんていうものは商売になりません」と述べている。(石井昭、2005)最後にこれからの図書館はどうあるべきかについて述べる。

 公共図書館においては、指定管理者制度が図書館運営を見直すきっかけになったともいえる。図書館は教育施設ともいえるものであるが、利用者にとって、現在の図書館は閲覧、貸出しサービスのみが認識されており、レファレンスの利用者は少ない。

 また、図書館においては、1950年代以降、ほとんど図書館のサービスは進化していない。

 図書館法や中小レポートで貸出サービス、児童サービス、移動図書館が行われるようになったが、それらに変わる新しいサービスを見出せないでいる。それは電子図書館となっても媒体が変化しただけで閲覧・貸出しのみに重きを置くという点では変わらない。

 かつて、貸出一辺倒の図書館の在り方に図書館が無料貸本屋と揶揄されたことがあった。

 これからは、図書館運営においては新しい価値を見出さなければならない時期であろう。

 たとえば、地域性を重視した図書館運営が挙げられる。病院が図書館の近くにあるなら、医学書コーナーを設け、医師会による講演会を行なうことが考えられる。ほかには学校が近くにあるのであれば、学校生活で発生するいじめ問題など、さまざまな問題に関するコーナーを設ける。そして、図書館は、専門家と協力して、それらの問題を解決するための情報発信をすることが考えられる。

 また、上記に挙げたような、徹底したサービスを行うには司書の経験や蓄積された知識、それらに裏打ちされる地域の信頼が必要となる。しかし、現在の非常勤を中心とした3~5年の採用期間ではそれが難しいのに加え、単に図書館に長期間いれば専門家になるというわけではないのも事実だ。そして図書館も司書資格者を採用しているから、専門職が確保できているとするのは早計である。業務上の成果の知識化と、その知識を業務へ応用できてはじめて専門家としての司書の必要性が社会に生まれるのである。

図書館の運営費はとにかく安価が良い、人件費は安ければ安いほど良い、とりあえず司書資格があれば良い、とされる一因は、貸出カウンターに座って受身で利用者を待ち、単に利用者の求める資料を探し出すレファレンスサービスを続けるのみで、潜在的利用者を逃してきたからにほかならない。

 ゆえに、図書館関係者自身が、教育機関としての図書館がどのような役割を果たし、価値を提供できるのか、達成すべき目標は何かを認識することが重要である。

そして、時には図書館外の異なる職種の専門家に協力を求めながら、図書館及び司書の新たな価値を社会に提案・提供していくことも必要となってくるであろう。